帝国の時代2-帝国とは平和なり

クーデターを成功させたルイ・ナポレオンは、1851年末に新憲法を国民投票にかけて承認させた。その憲法では大統領は10年任期で、再選が妨げられないので、独裁が可能である。そしてさっそく彼は、オルレアン家の財産を没収した。これには内務大臣のモルニーが反対したが、用済みとばかりあっさり首にした。

その資金でなんと、ルイは相互扶助組合や労働者住宅の建設など社会福祉政策を行った。労働者からの人気取りもあろうが、彼は社会主義の本を牢獄で読んで感化されていたのである。もっとも独裁者にふさわしく大新聞の言論規制を行い、官選候補を優遇制度をつくり、反対者を議会に入れなくした。

1852年の第一回立法議会選挙はルイにとって大成功だった。ルイは開会式で「独裁は終わった。共に共和国を守ろう」と演説した。しかしこれを不満に思ったのが新内務大臣にして、失敗時代からの腹心ペルシニーである。ペルシニーはストラスブールの鉄道開通式で「皇帝万歳」と叫ぶ民衆の声を利用する。

ペルシニーは、ナポレオン時代につくった「聖ナポレオン祭」を復活させる。そして全国視察旅行にルイが出かけるとき、知事達に「ナポレオン3世万歳」と民衆に叫ばせるよう指示を出した。ルイも次第にその気になり、ボルドーでついに「帝国それは戦争ではなく平和です」と演説した。

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。