1851年、近代万国博のモデルとなるロンドン万国博覧会が開催された。繁栄を誇る大英帝国のパフォーマンスといえるこのイベントの目的を、ヴィクトリア女王は「すべての人の労苦で人類の進歩が達成され、神のご意志を実行する」と述べている。人類の進歩と調和は大阪万博だけではなかったのだ。
万博のために、水晶宮と名付けられたガラスと鉄骨でつくられた超モダンなパビリオンが建設された。倒壊するかもしれないと反対の声も多かったが、完成された水晶宮を見たロンドンっ子は、現代の大聖堂だ、と感嘆の声をあげた。これを見たさに延べ60o万人もの観客が集まった。
現代の万博と同じように、機械製品をはじめ広軌用蒸気機関車など当時のイギリスの最先端製品が展示された。またこの展示会で初めて家庭用ミシンも展示された。万博はイギリスの科学技術を国民に宣伝するためのものでもあった。観客は自国の威光に酔いしれた。
しかしまた万博は、植民地帝国の展示会でもあった。ケープタウンのブッシュマンがつくった毛布やオーストラリア流刑囚のつくったヤシの葉の帽子、インドからは象と虎の剥製、カナダからもトナカイの剥製が展示された。また展示会は労働運動を懐柔する意味もあり、1シリングで入場できる日も決められていた。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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