ロマン派の時代39-ユダヤ人オッフェンバック

ワグナーが攻撃しているのは、当時オペラ界を席巻していたユダヤ人マイヤベーアである。彼はドイツの裕福な銀行家を父に持ち才能に恵まれ、ロッシーニの援助で1831年に「悪魔のロベール」で、ロッシーニの後継者として、ロマン派の大規模な管弦楽を使ったグランドオペラの時代を切り開いた。

彼は大衆向けのオペラを書き、巧みな宣伝で成功させたのを金儲けのためとワグナーは批判してユダヤ人と結びつけるが、やっかみというもので、ワグナーはパトロンと結びついたのでどっちもどっちといえる。しかしこの後、ワグナーの影響で、メンデルスゾーンもマイヤベーアもドイツで演奏されなくなっていく。

マイヤベーアの次のユダヤ人はオッフェンバックであり、彼は自分の小劇場で、オペラブーフという小喜劇を行い、特に1858年の「地獄のオルフェ(天国と地獄)」で大当たりをとって、これがウィーンでも上演されたことから、ウィーンでオペレッタとなっていく。

オッフェンバックが最後にオペラで挑んだのが「ホフマン物語」である。この原作者もホフマンというユダヤ人。放浪しては裏切られ、嘲笑される物語はまさにユダヤ人の運命といえる。このオペラを遂にオッフェンバックは完成できずに世を去ったが、ホフマンの舟歌は世界中で愛され、演奏されている。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。