48年革命17-ユダヤ人問題とは

18世紀後半ユダヤ人ゲットーが開かれ、ユダヤ人は堂々と市民生活ができるようになった。ところが同時に反ユダヤ主義もできるのだから因果なものである。それは資本主義が広まり、昔から金融のプロだったロスチャイルドのようなユダヤ人が活躍することへの反発である。

それをベースとして集団としての攻撃に移る。今や市民社会となったのに、ユダヤ人は開かれず自分達の世界を守っている、と。時世が変わったからといってハイそうですか、とすぐ変われというのは無茶な相談というものだ。しかし実際は、ユダヤ人はキリスト教に改宗して同化しようとしたのである。

ユダヤ人が金持ちというのも偏見である。ユダヤ人はドイツの人口の1%にしかすぎず、家族経営の商店や手工業を営んでおり、豊かとはいえない。資本主義というシステムを批判するより、ユダヤ人という目に見えるスケープゴードを攻撃するほうがやりやすいのである。

1843年に出版されたユダヤ人マルクスの有名な「ユダヤ人問題に寄せて」では、ユダヤ人が改宗しても問題は解決しないという。資本主義社会は、むしろユダヤ人のような金万能の世界をつくろうとしており、資本主義社会がなくならないとユダヤ人問題は解決できない、ちょっとラディカルすぎである。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。