48年革命12-ルイ・ナポレオン大統領

この頃ナポレオンの甥ルイはロンドンに居て虎視眈々とフランスを窺っていた。実は1846年5月25日、彼は牢獄の脱走に成功していた。ロンドンでは遺産で豪勢な生活をしていたが、何と牢獄で社会主義を研究し「貧困の根絶」という論文を書いている。また砲術を勉強し、化学実験室を作っていた。

2月革命後、彼はパリに戻るが、臨時政府の指示でロンドンに帰り、4月の選挙にも立候補しなかった。ところが6月の補欠選挙で、立候補しなかったにもかかわらず当選してしまう。革命の恐怖を恐れた農民達が自分達に土地を与えてくれた大ナポレオンの再来を夢見たのである。

ルイはここで議員達の不信感に応えて、議員を辞職する。この事はますます人気を高め、9月の補欠選挙ではトップ当選する。6月蜂起のときにパリに居ないというアリバイがあったのも安心感を高めた。そして11月に共和国憲法が決まり、大統領に大きな権限が与えられた。

そして大統領選挙が始まる。大本命は6月蜂起をつぶしたカヴェニャック将軍だが、自由主義者や共和主義者は気に食わない。しかしラマルティーヌらも人気がなかった。なんと反対派はルイ・ナポレオンに集まり、また地方の農民達も今や神話となったナポレオンの名だけで、74.2%の得票で当選した。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。