第1回十字軍10-最初の十字軍国家誕生

ニカイアで敗北したルームセルジュクのアルスラーンは、今度は道の狭いドリュラエウムで待ち伏せ攻撃をした。しかしトルコは軽装で馬上から弓を射る戦法で、狭い道ではかえって西方の重装騎兵に対して不利だった。おまけに先鋒は戦いの鬼のノルマン兵で、アルスラーンは何もかも投げ出して逃げた。

その後十字軍は、セルジュクの焦土戦法や、天候にも悩まされるが、南部の古都コンヤに到達した。ここで本隊は一息ついたが、決起盛んなボードワンとタンクレードが近道を行くと別行動をして、タルススを奪取したり、数々の軍功を立てた。これが評判となり、戻ったボードワンに出世の道が舞い込んだ。

古都エデッサ、ここはローマとペルシアの戦いの地であったが、最初にキリスト教を受け入れたアルメニア人の王国でもある。かつてここに聖骸布があったと伝えられる。その王トロル公爵がボードワンに白羽の矢を立てたのだ。ボードワンはエデッサに行き、伯爵の養子となった。そころが、そこで反乱が起き、トロルが殺害された。

ボードワンは、頭の切れる男で、反乱者と話し合って収め、引きついて統治者となった。1098年、ここに最初の十字軍国家エデッサ伯国が誕生した。この国は、さっそく十字軍の防衛線となり、皆の領地への野望を掻き立てた。

下はボードワンのエデッサ入城

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。