第1回十字軍9-セルジュク領ニケーア陥落

民衆十字軍はかなり悲惨だったが軍事的にひとついいことをした。セルジュークが油断したのだ。トルコ中央部を支配するルーム・セルジュークの若殿、クルジュ・アルスラーンは次の大軍が来るときいていたが、たいしたことはないと思い、イスラムの各地を通り平定していた。ところが気づいたときには、武装十分な兵士達が首都ニケーアの城壁にとりついていた。

十字軍本隊は、ウルバヌス2世に従い、1097年4月までに各地からコンスタンチノープルで合流。ビザンチン皇帝アレクシオスは都で接待し、十分な補給と、あとの補給も約束した。その代わり彼らに自分への臣従の誓いをさせ、戦争で奪った領土をビザンチンのものにしようとしたが、最初しか通用しなかった。

そういうわけで、ニケーアの領主も、十字軍が来るというのに、別のアミールとの戦闘に出張中だったのだ。大事に気づいたアルスラーンも急行したが、準備不足で4週間の激闘の後に撃退された。ニケーア城の中の守備兵達は混乱をきたした。

囲んだ十字軍が攻城兵器を組み立てるだけでパニックに陥った守備兵は、あとから船で来たビザンチンに、十字軍の頭越しに降伏した。皇帝アレクシオスは、臣下に対して、十分すぎる褒美をとらせたつもりだったが、十字軍側にはかなりのフラストレーションを与えた。

下はニケーアの城壁の遺跡

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。