ナポレオン帰還でフランスのナショナリズムがもりあがる。当時の首相ティエールは、さらにドイツ連邦にナポレオンの獲得したライン左岸を返還せよと圧力をかけた。それが本気の印に、予備役を動員して戦争も辞さずとの構えを示す。国王ルイ・フィリップは単にアジテーションのつもりだった。
ところがこれはかえってドイツの愛国統一意識を刺激してしまう。ニコラス・ベッカーが「ライン河の歌」をつくって愛国を訴えた。そして詩人シュネッケンベルガーがつくったのがこの後愛国歌となる「ラインの護り」である。この詩は当時はスイス人の曲にのせて歌われていた。
フランスはエジプト・オスマン戦争で、エジプトを支援していたが、イギリスがオスマンを支援してナイルデルタを海上封鎖してエジプトが不利になった。すると仏王ルイ・フィリップは掌を返して平和を求めることを宣言し、ティエールを罷免、ロンドン条約が締結された。
「ラインの護り」は、その後1854年に、シュネッケンブルガーが曲をつくって、ヴィルヘルム1世の前で披露したため有名になり、普仏戦争以後軍歌として歌われた。アカデミー賞を取った映画「カサブランカ」で、ラ・マルセイエーズと対比されナチの象徴のようになってしまうしかし実際は祖国防衛の歌だ。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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