1095年、クレルモン公会議でいよいよ十字軍が結成される。この背景には大きな世界的変動があった。繁栄を誇ったイスラムアッバース朝も分裂の様相を呈していた。もともと帝国というものは、ある時点までいくと、地方の自覚を促し、分裂していくものかもしれない、それは今日でも通用するだろう。
最初の分裂は756年、ウマイヤ朝の生き残りアブドゥラフマーンがイベリアに後ウマイヤ朝を建国し、カリフを名乗ったときだった。ムスリムの中心カリフが2人居ることになった。もともとカリフとは、ムハンマド死後のムスリムの指導者という意味で、世襲王ではない。
そして909年になると、チュニジアから興ったシーア派教徒達が、ムハンマドの娘ファーティマの子孫で救世主マフディーを称するウバイドゥーラを旗頭に、エジプトでファーティマ朝を建国し、アラビア語で勝利を意味するカイロを首都とした。なんと3人もカリフが出たのだから権威もなくなるというものだ。
さらに977年にペルシア系のガズナ朝が興り、こちらはスルタンと名乗った。そしてその後興ったトルコ系のセルジュク朝のトゥグリル・ベグは、正式にアッバース朝からスルタンを承認され、カリフに代わりスンニ派の擁護者としての地位を確立し、トルコからイランまでを支配した。
下はグラナダ県にあるアブドゥラフマーン1世像
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
0コメント