近代アジアの動乱1-アヘン戦争勃発

ヴィクトリア女王は次のピール首相とそりが合わず、またもやメルバーン子爵が再登板となった。女王は後年反省して、今ならもっと違ったことができた、と言っている。しかしこのとき、アジアオリエントで、重大な外交問題が起きる。何よりも阿片戦争の勃発である。

この問題は18世紀まで遡る。イギリスは清からお茶を大量に輸入していた。しかし清は貿易に消極的で、何よりイギリスの綿製品は、もうとうに中国では国産で間に合っていた。そこで東インド会社は、インド植民地のベンガルで育てたアヘンを中国に密輸入した。

乾隆帝以後、清は停滞し、人口増で貧民があふれていた。その鬱屈した気分を紛らわすのにアヘンを吸った。清の道光帝は、厳しい措置に転換し、林則徐を取締りにあたらせた。1839年、林則徐は、英国商館を包囲して、1400トンのアヘンを供出させ処分した。イギリス商人はこの措置にマカオに退去する。

清国貿易監督官チャールズ・エリオットは、11月3日、清国兵船に艦砲砲撃を行う。外相だったパートマン子爵は強硬派で、軍事的に清国の門戸を開こうとして、本国より軍艦の派遣を要望した。1840年2月、この派遣は9票差で庶民院で可決した。このときグラッドストンは「不正で永続的に不名誉な戦争」と反対している。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。