ウィーン体制21-株屋の王ルイ

フランスの7月王政で権力を握ったのは、金融ブルジョワジーである。7月革命の首謀者である銀行家ジャック・ラフィットは、「いまや銀行家の治世が始まるだろう」と公言して最初の首相となった。続いて首相になるカジミール・ペリエも銀行家であり、ルイ・フィリップは「株屋の王」と言われた。

カジミール・ペリエのペリエ家は、18世紀にリンネルの製造と販売で財を成した。祖父の代にグルノーブルで、インド産の織物を南フランスに売る。さらにマルセイユの砂糖輸入業者にも出資した。革命時代は武器製造販売で儲け、鉱山にも投資し、カジミールがパリで銀行をつくった。

工場を作って財を成すのは、産業革命以後であり、フランスの繊維産業はまだマニュファクチュアと家内工業の混在である。このマニュファクチュアは、商人が金を出して織機を買い、原材料を持ってきて、賃織りをさせて、その織物をまた別のところで売りさばいて財をつくった。

ジャック・ラフィットは、パリの銀行家に雇われてキャリアをつくった。そしてナポレオンの時代に、彼の金融アドバイザーとして、資金を運用して財をなした。かのタレーランもインサイダー情報を利用して株で儲けた。この頃のフランスのブルジョワジーは、ナポレオン時代に富を蓄えたのである。

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