近代とキリスト教6-ラブレーの不思議のメダイ

1830年7月18日、パリのバック通りにある修道院の修練女カトリーヌ・ラブレの前に聖母マリアが出現した。さらに11月27日にも出現し、その姿をメダイにして身につけると恩寵が与えられる、と話した。カトリーヌはそのことを司祭に話して、2年後司祭は大司教にこのことを話して、メダイの許可を得た。

カトリーヌは18歳のときに夢に司祭が出てきて「あなたはいつか私を見つけるだろう、神はあなたのために計画を持っている」と述べた。その司祭は、後に彼女が所属する修道会の創立者、聖ヴァンサン・ド・ポールだったという。聖母が出現したとき、彼女はまだ修道女になる途中だった。

修道会の「愛徳姉妹会」は、1500個のメダイをつくって何も知らさず、人々に配った。ところが聖母の預言通り、コレラや狂犬病の治癒、神への回心の例が起き、そのメダイは「不思議のメダイ」と呼ばれた。メダイ制作の由来がカトリーヌの司祭から公表されたのはその2年後である。

日本では、神仏のご加護を願うお守りは古来からあり、江戸時代には根付が流行るが、カトリックで、お守り=メダイが一般に普及するのは、これ以後である。信仰がすたれる中で、聖母マリアは新たな戦略を考えだしたのだろうか?カトリーヌは1876年に帰天したが、その遺体は腐敗せず、1947年に列聖された。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。