カノッサ第3のプレーヤーは、クリュニー修道院第6代院長、聖ユーグ。最初はただの修道院だったが、歴代の名院長によって発展し、彼のもとでついに1000のフランチャイズをもつ修道院チェーンにまで発展した。彼はこの力と財力をもってローマに人材を送り、教皇の改革を支援しつづけ、カノッサ、十字軍で重要な役割を果たすのだ。
1049年に院長となるとすぐ、教皇レオ9世は、この修道院チェーン全体を「クリュニー教会」としてそれぞれの修道院を地域司教から独立することを宣言。ユーグは教皇に特権を承認してもらうと同時に、教会改革を下から支援して各地の修道院に指示を送る。各国司教が、国の権力下にあった時代、それから独立したクリュニーは、教皇権独立のための大きな力となった。
そして彼のもとで、本部修道院は第3クリュニーと呼ばれる増築を行い、ますます大きくかつ豪華になってゆく。もちろんグレゴリオ7世のもとで、全司教人事を教会が握ったときには、クリュニー出身の人材が各地に送り込まれたことは言うまでもない。何よりクリュニーは、諸侯の一族の彼岸での安寧を祈る特権を付与されていたので、諸侯に顔がきいたのだ。
そしてまたユーグは、皇帝ハインリヒ4世の洗礼の代父。ということで、皇帝、教皇双方に顔がきくユーグがカノッサのドラマのバランサーを務めることとなる。しかしその後結局2人とも突っ走ることになるのだが。
「カノッサの屈辱」で必ず出る絵ですが、左が聖ユーグ、右はマティルデ。下が皇帝
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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