シャルル10世は、穏健派のマルティニャック首相が気に入らず解任。そして1829年8月ユルトラのポリニャックが首相になった。名前でわかる通り、彼はあのポリニャック夫人の次男で、ヴェルサイユで豪勢な権力の中で育った。その名前に皆嫌悪を抱き、メッテルニヒでさえ悪い予感を抱いた。
そんな状況で「国王の作曲家」ロッシーニが作ったのが歌劇「ウィリアム・テル」である。原作はドイツのシラーであり、スイス国民が自由と独立を求めて立ち上がる、明らかにフランス革命に影響された戯曲である。これを5時間のグランドオペラにして上演した。
29年8月3日の初演は、ご時世を受けて見事に成功した。自由主義者は、理想化されたフランス革命を思い出してインスパイアされたのは想像に難くない。このオペラは、その後パリオペラ座の看板演目となり、グランドオペラの時代を切り開いた作品となった。
しかしロッシーニは、これを最後に引退し、39年間も公開した作品はつくらなかった。この原因は美食による身体の不調、金銭的満足とかいろいろな説がある。そして彼の音楽は古典派であり、ロマン派の音楽と合わなかった。しかしウィリアム・テルによって革命後の政府からも年金の継続を保証された。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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