1829年、バッハの「マタイ受難曲」が復活演奏され、大好評を博した。行ったのは作曲家メンデルスゾーンである。彼は成功したユダヤ人銀行家の息子として生まれ、祖父モーゼスは有名な哲学家。モーデスはユダヤ人が欧州社会に溶け込む提言を行ったが、その通り息子はキリスト教徒と結婚して改宗した。
メンデルスゾーンも、ルター派の洗礼を受け、英才教育で早くから音楽の才能を発揮した。21年12歳のとき会った62歳の大文豪ゲーテは、モーツァルトの再来を見た。25年フランスのケルビーニに認められ、彼はパリに行くが、戻ってきた26年にすでに「真夏の夜の夢」序曲を作曲している。
25年に、マタイ受難曲の写本を祖母から手に入れたメンデルスゾーンは、これを再演しようと決意する。そして慈善演奏会として成功させた。これは「世界で最も偉大なキリスト教音楽をユダヤ人が復興させた」と評され、彼は「偉大なキリスト教音楽の復興には俳優とユダヤ人の息子が必要だったんですね」と言った。
そこからメンデルスゾーンは、モーツァルトのように各国の演奏旅行に出かける。33年、定職を得るため、ベルリンのジングアカデミー指揮者に志願するが、落選する。このとき、彼がユダヤ人ということが影響し、マタイ受難曲の再演も、ユダヤ人銀行家が息子のために金で演奏させたと誹謗されていたようだ。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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