1821年、ウェーバーのオペラ「魔弾の射手」が上演されて大好評をとった。ウェーバーは、モーツァルトも交際していた音楽一族であり、コンスタンツェは父方の従姉にあたる。北ドイツのリューベックで生まれ、ザクセンの宮廷楽長となって、モーツァルトをはじめとするドイツオペラの普及に努めた。
「魔弾の射手」は、ザクセンではなくあえてプロイセンの首都ベルリンで初演した。テーマは、6発までは自分の思う所に命中するが、最後の1発は、悪魔の思う所に命中する、というドイツの民間伝承から取った。それまでのギリシャローマ神話から決別して、ドイツ独自のストーリーである。
登場者は、狩人と民衆。主人公は悪魔の誘惑に負けるが、最後に森の聖者に救われる。そして聖者は、「御前射撃」という悪い風習は止めるようにと勧告し、主人公は猶予をもらって掟の道に立ち返る。まさにドイツの近代プロテスタント道徳の革新のオペラなのだ。
ジングシュピーゲルの伝統を引き継ぎ、有名な「狩人の合唱」のように、ウェーバーのハーモニーはわかりやすい。まさにドイツオペラを確立した金字塔といえる。ベルリオーズやワグナーもこのオペラを見て作曲家を志した。しかしその後残念なことに結核を患い、これに勝る名作は生み出されていない。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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