1821年は3月7日に、シューベルトの「魔王」が初演されている。この曲の詩は1782年ゲーテによって書かれている。この詩はデンマークの伝説を自由に作り替えたものだが、死の前兆に魔王を見るという伝承は、ドイツにもあったようだ。ウェーバーと同じくキリスト教以前の神をロマン派が生き返らせたといえる。
シューベルトは「魔王」に感動して、1815年18歳のときに短期間でこの曲をつくったという。シューベルトの父は教師をしており、音楽はアマチュアだった。当時はベートーヴェンでもまずピアニストとしてデビューしており、作曲家だけで飯を食うのは困難だった。しかも家は貧しかった。
シューベルトは、教師をしながら数多くの作曲をしている。そして1816年に教師をやめてプロ作曲家になるが、前途は厳しく、シューベルトの才能を認める友人達が支え、「シューベルティアーデ」というシューベルトの曲を演奏する会ができていった。この拠点が裕福な商人ゾンライトナー家である。
「魔王」はこのゾンライトナーの資金で100部限定のシューベルトの楽譜が出版され、その冒頭に置かれて作品番号1とされた。作品番号2番は「糸を紡ぐグレートフェン」であり、彼はそれからドイツの民間伝承から生まれたロマン派の詩を数多く歌曲にしていくことになる。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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