ロマン派の時代-オペラのナポレオン

平和の訪れたウィーンやヨーロッパでまた華やかなオペラブームが起こったのは当然である。その騎手がイタリアのジョアキーノ・ロッシーニである。1816年に作曲された「セヴィリアの理髪師」は瞬く間に欧州で大人気となった。これは「フィガロの結婚」の前のボーマルシェの人気作である。

「セヴィリアの理髪師」は、1782年にパイジェッロがオペラにして大人気を博したが、ロッシーニのオペラに上書きされて忘れ去られた。ロッシーニは、華やかな管弦楽と、イタリアのアリアを高度に再生させた。「ナポレオンは死んだが別の男が現れた」と言われるほどの人気を取る。

このオペラをべートーヴェンも絶賛して22年に、会ったときは「あなたはオペラ・ブッファ以外のものをつくってはいけません」と言ったという。ベートーヴェンのオペラ「フィデリオ」も一時期大評価されたが、全体の重苦しい雰囲気は、戦争が終わるにつれ、評価されなくなった。

ベートーヴェンは、当時の大ピアニストさえ演奏できないというピアノソナタ29番「ハンマークラヴィア」を完成させ、ピアノの可能性を極限まで追い詰める。彼はピアニストの不満に「50年経てば人も弾く」と言ったという。彼の相手は大衆ではなく、理想そのものだった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。