ナポレオン60-タレーランとフーシェその後

政治のカメレオンという異名がつく元警察長官フーシェは、フランスを追放されて、メッテルニヒの庇護を頼ってオーストリアに亡命、各地を転々としながら1820年墺領トリエステで亡くなった。なんと彼は教会のミサを欠かさなかったという。やはり死が迫ると来世が心配になる、彼はどんな祈りをしたのだろう。

フーシェは変わった男で、金にも女性にも興味を示さなかった。革命の中で、ルイ16世殺しだけが目立ってしまい、自分の保身のために、ロベスピエールを殺し、ナポレオンを頼り、また秘密警察を国中に張り巡らした。彼が永らえたのも、政治権力者の黒い秘密を握っていたからだ、とされる。

元外務大臣タレーランは、政府を罷免されても、ルイ18世から侍従長の役職をもらって優雅な生活を続けた。政治の執念は捨てず、なんと極右のユルトラに近づいたこともあるようだ。しかしブルボン家が国民と対立すると、ルイ・フィリップをかつぎ出して7月革命に重要な役割を演じる。

フーシェと正反対で、金も女も大好き。彼は元司教だが教皇に逆らい、かと思えばナポレオンと教皇を仲介する。革命に身を投じたが、ナポレオンのもとで出世し、裏切って、またブルボン家につく。しかしフランスという国を守ろうとしたことは確かのようだ。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。