ヴァイキング6-肥満帝妃聖リヒャルディス

カール肥満王は一応ヤル気はあったようだ。ヴァイキングのパリ襲撃の前にはイスラムの侵入防衛にイタリア遠征をしている。しかし残念ながら失敗して、帰ってみるとパリがヴァイキングに包囲されていた。このときにはもう戦う気は喪失していた。大軍を擁して出撃しながら、それを見せて金で解決した。

その後肥満王は閉じこもり、887年に甥のアルヌルフがドイツで反乱を起こしても何もしなかった。さすがにこりゃダメだと同年、トリブールの帝国議会で皇帝を退位させられてしまった。

あまつさえ肥満王は、愛妾が居て結婚したくなり、王妃リヒャルディスの不倫をでっちあげた。リヒャルディスは「潔白です」と主張し、神明裁判を受けたという。これは、火あぶりになったり、火の上を歩いたりして、何もなければ、神が潔白を認めたという、無茶な裁判だが、この頃はよく行われた。ワグナーの「ローエングリン」にも決闘による神明裁判が出て来る。

リヒャルディスは、火に侵されず無実を証明して、「ザマアごらんあそばせ」と夫に三くだり半を叩きつけて、堂々と自分の創建したアルザスのアンドロー修道院へ入ったという。翌888年にカール3世は亡くなるが、さすがに自業自得としかいいようがない。一方王妃リヒャルディスは、896年まで生き、没後列聖された。

下は聖リヒャルディスの神明裁判(リアルかは責任もちません笑)

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。