カール大帝の夢15-ヨーロッパ運河の挑戦

カール大帝の帝国の夢は、言葉だけに終わらなかった。なんとこの時代に、北海からマインードナウ川を繋げて黒海を結ぼうという壮大な運河建設の土木事業を行ったのだ。この夢は1922年のライン・マイン・ドナウ運河としてようやく実現することになった。

しかし、カールの帝国は新たな問題に直面した。バイエルンの併合は、当時フン族の後継としてハンガリー盆地を支配していた東方遊牧民族アヴァール人と遭遇することになった。カールは790年に入る頃から、アヴァール人と領土交渉をしていたが、結局決裂し、領土紛争をすることになった。

そして内部的にも不幸が襲った。792年、嫡男をはずされた長男ピピンの謀反が発覚した。ピピンは幽閉され、首謀者達はことごとく処刑された。伝記作者によれば王妃ファストラーダの冷たい仕打ちだったそうだが、その8月、ファストラーダも病気でこの世を去るのである。

悪いことは重なるもので、王族で頼りにしていたテウデリヒ伯がザクセン人に襲われて殺害され、それをきっかけにまたザクセンで反乱が勃発した。もはや夢の運河どころではなくなった。そしてカールは自分の統治を形にせねばと思うようになった。「王宮をアーヘンに建てる!」

下はカール大帝の夢を実現させた「ライン・マイン・ドナウ運河」

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。