カール大帝の夢5-「ローランの歌」の敗北

ザクセンの勝利の美酒に酔うカールに777年、イスラムの太守から援軍の要請があった。756年にコルドバにできた後ウマイヤ朝のアブドール・ラフマーンが勢力を拡張し、これまでのイスラム勢力が助けを求めてきたのだ。カールはこれをイベリア半島介入のチャンスと見る。

カールは778年初夏にピレネーを越え、サラゴサ攻略に成功する。目的を達したカールは一旦撤退するためピレネーを戻るが、ここで後衛を攻撃されて大敗を喫した。この敗北をテーマに創られたのが中世叙事詩「ローランの歌」である。この戦いでカールは、多数の忠臣を失うこととなった。

攻撃を行ったのはイスラムに組みしたバスク人である。バスク人は、イベリア半島に住みついた古い民族で、現在でもスペインから独立のためにテロをする者もいる。地の利を得た山岳ゲリラで、軽装に加え、ナイフや弓矢、短槍で戦った。「ローランの歌」では味方の不和があり、裏切りが出たことになっている。

森の中の夜間、重い輜重隊が、先頭と離れた隙を襲った。本隊は襲われたのに気付き、救援に向かったときには全滅していた。カールは嘆き悲しんだと歌われている。そしてカールの居ない間にザクセンで反乱がおきた。重い足取りで、カールは戦闘に赴く。

下は北スペインのローラン像

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。