カール大帝の夢4-カールの「聖戦」

772年、カールはザクセン人の信仰の象徴である「聖樹イルミンスル」を切り倒して宣戦布告をした。イルミンスルとは、ザクセン人が天空を支えていると信じていたシンボルで、北方神話の「世界樹」にあたる。後にヴァグナーが「ニーベルングの指環」に取り入れている。

父ピピン3世は、冷静にキリスト教を支配のツールと考えるところがあった。ところがカールは、ザクセンを征服して、キリスト教に変えることが目的となる。後にローマ教皇にあてた有名な手紙で彼は、「異教からキリスト教を守り、その力を強める」と書いている。マジなのだ。またイタリアを自国に加えるなど、ハナッから西欧全体を射程に置いている。

カールは、イタリア安定化のための遠征も行いつつ、775年に大勝利を収めて一旦は決着を見る。ザクセン人たちは降伏し、「数え切れないほどのザクセン人が、妻子と共に集まり、洗礼を受け、カールが要求しただけの人質を差し出した」と王国年代記には記してある。

カールはエレスブルクのザクセンの要塞を再建し、リッペ河畔に新たな城塞を築いた。これは今のパーダーボルンに当たるが、ここを「カールの都市」と名付けた。カールはコンスタンチヌスがコンスタンチノープルを建設したのに感銘を受けていたのだという。しかしザクセンの英雄ヴィドゥキントは、デンマークに逃れ、再起のチャンスを伺っていた。

下はイルミンスルを切ったカール大帝。トーテムのような描き方をしている

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。