中世の始まり3-アルザス縁起盲目の聖女

ドイツとフランスの間で複雑な歴史を刻むアルザス地方に公国ができるのは642年ちょうどクローヴィス2世の御世のことだ。アルザスは紀元前1世紀には「ガリア戦記」に出てくるらしい。住んでいたのはケルト人。その後部族の衝突でゲルマン人に助けを求めたことで、ゲルマン人がここに国をつくる。さらにカエサルが介入しローマの支配へ。この拠点がストラスブールの基となる。しかしこの地は400年以降ゲルマン人やフン族がガリアへ通過する地方となってしまう。

フランク王国が創立されるとアルザスは安定した時期を迎え、アルザスは公国となって独自の地域と文化をつくることとなった。その頃に生きた聖女オディールの伝説はそれを物語っている。彼女は、アダルリック公の娘で盲目で誕生。父は殺害を図るが公妃がいち早く修道院に隠した。その修道院に啓示があり、彼女の眼は見えるようになった。

宮廷で弟が事故でなくなり、娘は宮廷に戻されて父は結婚させようとするが、彼女は修道院へ戻ると言う。強引に婚儀を進める父に彼女は城を脱出、気づいた父が追う。とうとう岩山へ追い詰められ危機一髪というところ、突如岩が彼女を覆い隠してしまった。父は神の業を見て修道院入りを許したとたん、岩が開いて純白のドレスを着た娘が戻ってきたという。

実はこの地域には先住民の謎の長大な石垣が築かれており、この伝説もそうした背景があって生まれたものと推測されている。父は自分の城を娘の修道院にして、聖オディールはかつての自分のような盲目の人や障害者に奇跡を起こして、ここをその人達の巡礼地にしたとのことだ。

下の写真は幻想的な聖オディール修道院

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。