ナポレオンの大陸封鎖だが、実はイギリスを屈服させるほどの効果はなかった。なぜかというと制海権を握っていたのはイギリスだったからだ。今日でもそうだが、船偽装などは何でもできる、何せイギリスは元々海賊国家で、スペイン支配の眼を逃れて通商やってたのだからノウハウはたっぷり。
そして大陸封鎖を利用して勃興したのがロスチャイルド家である。それまではフランクフルトのユダヤ人ゲットーで両替商をやり、イギリスとの貿易でも儲けていた。1798年にネイサンがマンチェスターに移住、04年にはロンドンへ。大陸封鎖で、イギリスでは輸出商品が値下がりし、大陸では輸入商品が値上がりした。
ネイサンはこれに眼をつけ、イギリスで安く買い付け、大陸で高く売って差益で大儲けした。もちろん密貿易だ。彼らはドイツ人なので怪しまれないし、売りさばくには、各地のユダヤ人ネットワークが役に立った。フランス革命でユダヤ人の人権も一部回復していたのだ。
ネイサンは、さらにイギリス政府の反ナポレオン資金を各国へ渡す仕事も行った。こうしてロスチャイルドは英国政府と関係を築き、今日の出発点となった。やがてロシアが大陸封鎖を破り、イギリスに穀物をおおっぴらに輸出することになる。ナポレオンはロシア遠征を行うのである。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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