ナポレオンの大陸封鎖は諸刃の剣である。イギリスのアメリカへの輸出は5分の1に落ち、26以上の銀行が破綻。労賃は3分の1に落ちる。そんな中でラッダイト運動と呼ばれる機械破壊運動が勢いを増した。1812年3月、イギリス議会で機械破壊を死刑にする法律が成立したが、ゲリラ運動で首謀者は捕まらなかった。
ウェリントンは、この労働者の暴動の鎮圧にスペインから4個連隊を呼び戻さざるを得ず、ロンドンに5万の軍隊を駐留させて、この危機を鎮圧した。これはワーテルローで戦闘した兵士よりも多いのである。さらに12年5月11日、スペンサー・パーシヴァル首相は、経済政策に不満を持つ精神障碍者によって暗殺された。
フランスはイギリスよりももっと多くの損害を被り、国家歳入が大幅な赤字に陥る。フランス銀行が経済維持のため大幅な利下げを行ったため、リューベックの大手証券取引所が閉鎖され、信用不安が欧州を席捲した。フランスでも銀行が40件も破綻に追い込まれた。
さらに大陸では闇取引が横行し、イギリスの密輸品には多くの中間業者がからみ、それがもとで物価は高騰した。そしてその先物取引には、タレーランを初めとして、多くの政府軍関係者が関与していたのである。しかしナポレオンは、イギリスが破綻すると疑わず、問題は封鎖を破る者にあると考えた。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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