ナポレオン44-大陸封鎖が招いた飲料革命

大陸封鎖は皮肉なことに世界各地で飲料革命をもたらした。イギリスでは、フランスのワインが飲めなくなり、そこで普及したのが、英国産大麦麦芽から作られるスコッチウィスキーが(この頃実は密造酒)、普及するようになり、樽で保管されることで高級化してゆき、蒸留法もできる。

中南米植民地では、砂糖の輸出が激減してしまう。そこでサトウキビの新たな利用法として、砂糖を発酵させてラム酒をつくる。ラム酒は奴隷や海賊の酒といわれたが、これも蒸留法ができて、立派に販売できる酒となって、アメリカで大人気となり、種類も増えた。

フランスでは、サトウキビ原料の砂糖からテンサイを原料にした砂糖をつくった。ナポレオン戦争が終わって砂糖の輸入が復活すると、テンサイ糖はホワイトリカーやリキュールに使われた。そしてコーヒーである。中南米諸国は砂糖からコーヒーのプランテーションに切り替え、ブラジルが一大コーヒー産地になってゆく。

一方コーヒーが来ない欧州では、イタリアで小さいカップで飲むエスプレッソが作られた。そして「砂糖とコーヒーの不足はドイツ人をナポレオンへの蜂起に導いた」とマルクスは、ドイツイデオロギーに書いている。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。