8月15日は日本の終戦記念日だが、カトリックでは、聖母被昇天の祝日である。聖母マリアはキリストの昇天後も生きていた。が、役目を終えて、この日にキリストの恩寵で、生きたまま天に召された。これは、人間が天国へ行ける証明として、フランスで現在も祝日となっている。
この祝日は、革命によって廃止されていた。しかし何とナポレオンの誕生日なのである。抜け目のない彼は、この祝日を自分の誕生日を祝う日として復活させようとした。さらに抜け目がないのは、自分ではなく、聖人の祝日として復活させようとした点である。
なぜ聖母ではダメかというと男尊主義のナポレオンが女性の聖母の庇護など許すわけがない。ということで探してみると、4世紀の殉教者でネオポルスという名前が見つかった。そこで彼は、これをナポレオンと改名し、8月15日を聖ナポレオンの祝日として復活させたのである。
この日は、コメディーフランセーズなどの劇場で、お祝いのセレモニーがなされたが、各地の教会はそんなこと知ったこたなく、聖母被昇天の祝日の復活を喜び、ミサを行った。この聖ナポレオンは、1814年まで続いたが、ナポレオン没落後は、王政復古によって結局聖母被昇天となり、また3世で復活する。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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