ナポレオンは、スペイン王カルロス4世との講和の贈り物として、ダヴィッドに、絵画を依頼した。ダヴィッドは、ロベスピエールの失脚と共に投獄されたこともあった。が、その後は大人しく若手画家の指導をしていた。しかしナポレオンをスケッチしたりしているので野心は十分あっただろう。
ダヴィッドは乗馬姿を描きたいというので、最終的にアルプス越えのシーンが選ばれた。しかしナポレオンはウロウロ動きまわってモデルにならない。ナポレオンは「容姿などどうでもよい。いかに才能があるかを見せられればいい」というのだ。仕方なく自分の息子をモデルにして描いたのが「グラン・サン・ベルナール峠を越えるナポレオン」である。
この絵は、現在でもナポレオンを代表する絵画となっているが、馬が後ろ足で立っていなないているところなど確かに現実を超越しているところがある。シュールレアリズムっぽいというべきか。最初の絵の岩にはハンニバルやカール大帝の名が刻まれ、それに比肩する偉業だと示される。
ダヴィッドの主張する「新古典主義」は、現実よりもその理念理想をギリシャローマ時代のように描こうというのだから、ナポレオンの言葉もそれに叶っている。ナポレオンはこの絵を気に入って4枚描かせ、あちこちに飾った。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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