その頃パリでは、ナポレオン敗北の第一報が届く前から万一のときに備えて後継者の話し合いがされていた。第一のグループはラザール・カルノー陸軍大臣、第二のグループはラファイエット、その他弟のリュシアン、兄のジョゼフも後継者に色気を出し動き出していた。外務大臣タレーランはそれに顔を出していた。
警察長官フーシェは、自分の諜報網でこのすべてを把握し、ベルナドット将軍を擁立する準備をし、クーデターの宣言文までつくっていたらしい。タレーランのほうもカルノー将軍で一本化した。そこへナポレオン大勝利の正式報が入り、ナポレオンが帰ってくるという。
フーシェは用意万端で、自分の陰謀をさっさともみ消し、他の陰謀をナポレオンに報告、わざわざタレーランの仕掛けだとほのめかした。タレーランといえば、帰ってくるまでに手紙を書き、おだてあげた。そしてその中で、万一のことにそなえて、安定的な政権をつくるべきだと、終身執政を匂わせる。
ナポレオンは、タレーランのこの提案を気に入り、彼の疑惑について不問に付すことにした。王政では一応継承順位が決まっていたが、共和主義はまるでない。おまけに皆平等なので、我も我もと権力に群がる。それは結局ナポレオン皇帝を生む結果となっていくわけだ。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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