ミラノで英気を養ったナポレオン軍は、東に軍を進め、マントヴァ要塞を包囲する。スペイン継承戦争でオーストリア領となった町は、316門の大砲で守られていた。ナポレオンは、1796年6月からロンバルディアに侵攻し、トスカナ等各公国を降伏させて巨額の賠償金を取り、大砲を徴発して179門の大砲を得た。
8月3日、救援に来た墺軍を、カスティリオーネの戦いで終結する前に各個撃破して敗北させる。そして11月15日、ヴェローナの近くのアルコレ橋の戦いでは、今度はナポレオン自ら先頭に立って橋を渡ろうとしたという。この突撃は、部下に止められたが、またしても格好の伝説ができた。
実はそれを伝説に仕上げたのは妻ジョゼフィーヌである。彼女は夫の熱烈な手紙によって7月にミラノを訪問した。このときに連れてきたのが、画家アントワーヌ=ジャン・グロで、従軍させた。そして格好のシーンを見つけたというわけだ。11月29日からナポレオンにポーズを取らせてミラノで制作した。
翌年完成した絵は邸宅に飾られ、フランスの要人達が見物し、夫の評価はどんどん高まってゆく。ナポレオンはミラノ入城で、自分は軍人以上のことができるのではないかと思ったと「セントヘレナ回想録」で書いているが、それをジョゼフィーヌはパリで準備していたのである。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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