ディオクレティアヌスの迫害の中で有名な殉教者が出ている。伝説によれば、聖セバスティアヌスは、なんと皇帝の近衛隊長である。彼がキリスト教徒であるとは全く気づかなかったらしい。ローマで逮捕されたキリスト教徒に棄教を迫られたが、セバスティアヌスは、逆に棄教をせぬよう励ましてしまう。
また軍隊内でも改宗させて、囚人を逃がしてしまったというから規律もあったものではない。皇帝に見つかると彼は皇帝を咎め、怒った皇帝は、裸にして四方八方から矢で射た。しかし結局彼は死なず、またアジるので、皇帝は結局殴り殺したといわれている。聖人は兵士の守護、黒死病の守護として人気があり、絵画のエロさから三島由紀夫も「仮面の告白」で使っている。
アレクサンドリアの聖カタリナは、次世代ローマを支配したマクセンティウスの時代であるが、18歳ながら堂々と皇帝に迫害をやめるよう説得に行ったといわれている。皇帝は学者50人を選んで彼女と対決させたが、皆論破されてキリスト教に改宗してしまった。よせばいいのに皇帝は、若くて知性的な美女を愛人にしようと思い「お前を女神にして像を建てよう」と言った。
もちろんカタリナは「No!」身分が低いと勘違いして「皇妃ではどうだ?」と言われても「勘違い野郎キモイ!」牢に閉じ込めて飢えさせても全くダメ。「かわいさ余って憎さ100倍」となった皇帝は、車輪にかけて車裂きの刑にしようとしても車輪が壊れ、結局剣で斬首したと伝えられる。女性と知的職業の守護聖女で、後にジャンヌ・ダルクに現れたとジャンヌが証言している。
下左は三島が惚れたグイド・レーニ作「聖セバスティアヌスの殉教」右はファルマンド・ヤネス作神秘的で美しい「アレクサンドリアの聖カタリナ」剣と車輪がシンボルです
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
0コメント