恐怖政治4-自由の女神登場

マラーは革命の殉教者に祭り上げられた。ダヴィッドはこの死を神聖な美しさで描こうとした。フェルメールを思わせる静謐さだ。暗殺者のシャルロット・コルデーは24歳の女性で、逃げずに処刑された。彼女は革命は支持したが、自分の神父が殺されたことでパリに出た。後に暗殺の天使と称えられ、やはり描かれる。

そして1793年8月10日にはダヴィッド演出の「統一祭」が行われた。ここで元ルイ15世広場、当時革命広場に置かれたのが即席に造られた「自由の女神像」である。自由の女神は前年のアッシニア紙幣にも使われた。さらにイシス、ヘラクレスもあり、ごった煮である。

ダヴィッドは革命の理想を描こうとしたわけだが、現実はそんなもんではない。7月末にはコンデとヴァランシエンヌの砦が破られ、最後のモブーが残るのみ。ドイツ方面では、マインツが連合軍の手に落ち、キュスティーヌ司令官は反逆者の烙印を押され、可哀そうにパリでギロチンにかけられた。

ここでロベスピエールは、公安委員会を使い庶民の不満を抑えるため「価格統制令」を出した。そして生活必需品をため込んだ者は、反逆者として死刑にすると決めた。戦時共産主義というか、何のことはない、王制よりも厳しい統制経済を実施した。国王ルイも、断固としてこれをやれば死なずにすんだだろう。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。