恐怖政治3-マラーの暗殺

内憂外患とはまさにこの時期のフランスである。1793年3月18日、ネールヴィンデンの戦いに敗北し、連合軍はフランス国内に進軍。敗北の責任を追及されそうになった司令官デュムーリエは、墺軍に寝返り、ヴァランシエンヌやコンデが包囲された。ここが陥落すればパリまで遮るものはない。

ダントンは「人民が怖ろしい存在にならぬように、我々が怖ろしい存在になろうではないか」と言う。そして3月10日に「革命裁判所」が設置された。4月6日に9人からなる公安委員会も設置され、反革命的と思われる者は、24時間以内に処刑してもいい権限を与えられた、恐怖政治が始まったのだ。

ロベスピエールは、穏健派のジロンド派を攻撃し、またまたサンキュロットの革命軍を募る。6月1日ジロンド派の女王と言われたロラン夫人が逮捕され、翌日国民公会が包囲されて、ジロンド派が追放、以後山岳派独裁となった。7月13日、山岳派指導者マラーが、シャルロット・コルデーに暗殺されたことで、さらに恐怖政治は加速する。

このマラーの暗殺を描いたのが、ナポレオンの絵で有名なダヴィッドである。彼はマラーの死を殉教者のように描いたが、実は山岳派議員であり、この後権力を得て、「筆のロベスピエール」と呼ばれたのである。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。