1793年3月4日、史上初のアメリカ大統領就任式が行われた。初代大統領は独立戦争最高司令官ワシントンである。大統領についてはすでに87年の憲法制定会議当初から大きな課題だった。各邦集合体から共和国となるには、統一された行政府が必要だが、王のように強大な権力が集中するのはもっと嫌だった。
信仰深い国民に対して、実は建国の父達は啓蒙主義者であり、聖書にも冷静だった。ハミルトンは、なぜ憲法に神を入れなかったのか、と問われ「入れ忘れた」とジョークで応えた。ジェファーソンは、奇跡をすべて除いたイエスの生涯をつくった。彼らは民衆のポピュリズムに不信を持っていた。
当初から大統領は、連邦議会が選出する方法が主力だった。直接選挙制を支持する者は少数で、人民がそこまで成熟しているとは多数は考えていなかった。しかし議会によって行政の長が選出されれば、今度は議会が行政を支配し、三権分立が脅かされるとも考えたのである。
そして9月4日、今日に至る「大統領選挙人」方式が提案された。一般人は各州の選挙人を選ぶのである。各州の選挙人だが、何と奴隷は3/5人として計算されて選挙人が割り振られた。一般投票ができるのは納税した男子国民だけだった。しかしフランスの混乱を考えるとうまく機能したと言えるだろう。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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