仏王処刑27-王家の墓の冒涜

ジャコバンら過激派は、ルイ16世とその家族だけでは飽き足らない。1793年8月2日、「墓の中でも、過去の消え失せた権勢を鼻にかけている」と「サン=ドニ教会、あるいは共和国内の聖堂にある王達の墓所および霊廟は、8月10日をもって取り壊されることとする」とする決議が新しい国民公会で行われた。

まあ遅れてきた聖像破壊というべきか、それから53の霊廟が暴かれ、野ざらしにされた。王家関連の157の柩がこじ開けられ、遺骸は共同墓地へ投げ込まれた。柩の鉛は砲弾となり、貴金属類は国のものとなって売られた。シャトーブリアンは「12世紀の間に築かれたものが3日間で破壊された」と書いている。

ロシア革命や中国の文化大革命でも似たようなことが行われたが、さすがにここまで墓荒らしをやったということは聞かない。これらの遺骨は、王政復古の際、掘り起こされて、サン=ドニ大聖堂に戻されたが、行方不明のものもある。

ルイ16世夫婦の遺骸も同時に捜索されて、大聖堂に葬られた。シャトーブリアンもその場にいて、アントワネットの遺骨にヴェルサイユで笑いかけてた面影を見たと記している。このマドレーヌ墓地には、ルイ18世によって「贖罪礼拝堂」が建てられ、今でもミサが捧げられている。象徴行為としては、破壊よりも建設のほうがずっといい。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。