仏王処刑6-教会財産を国有化

パリに国王と議会が移ってきたことは、一層パリ世論の影響を受けやすくなった。共和主義者は、議会の権力を求めたが、バイイやラファイエットら立憲君主主義者は、急進的になりすぎるのを抑えるため、宮廷費を認め、国王らに権威をつけようとした。チュイルリー宮でも、ヴェルサイユの半分の召使が居た。

議会では10月10日、ナポレオン時代までフランス政治を動かすタレーランが、教会財産の国有化を提案した。彼は実はこのときまだ司教で、三部会には聖職者身分で議員になっていた。変わり身の速さは生来のものだろうか。これによって領地のなくなった聖職者も俸給が出ると説明した。

この処置は、聖職者からも賛成され、立憲議会で可決された。彼らは、国のトップは国王であり、フランスカトリックのガリガニズムの伝統からもそんなに違和感がなかった。これは同床異夢も甚だしいが、ともあれ、この後の革命時代の大混乱でもフランス財政を救ったのは国有化された教会財産である。

翌1790年2月4日、国王は議会で演説し、憲法の原理を守ると誓約し、共同で危機を乗り越えることを訴え、また行政や外交という国王の役割を尊重するように求めた。この演説は議員の喝采を呼び、何度も途切れた。しかしこの平和も同床異夢だったことがすぐ明らかになる。

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キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。