フランス革命の道26-全国三部会開会

1789年5月5日、ついに運命の全国三部会がヴェルサイユで開催された。ところが実際会議は寄せ集めである。急進的な自覚をもった弁護士が居るかと思えば、田舎からパリの物見遊山のつもりで来た者もいるという状態だった。そして明らかに第三身分の待遇は悪かったのである。

そして肝心の宰相ネッケルの演説たるや、延々と三時間も、王室財政の大赤字を述べ立てた。いやいや聞きたいのは、その赤字をどうするかということだ。そもそもこの三部会が、何を決めるのかさえ決まっていなかった。以前の三部会というのは仏国王が承認を得るための道具にすぎなかった。

そして代議員の資格認定ですら、三身分別の審査を要求する特権身分と合同審査を要求する第三身分とで噛み合わぬ始末だった。ただ一つ会議の名称だけは「国民議会」と決まった。そして現行の税は、この議会が承認しない限り無効という決議がなされた。シエイエスの予言のようにすすんでいく。

このイニシアチブをとったのはミラボー伯である。彼は貴族でありながら第三身分の代議員となり、その弁舌能力で有名だった。そして三部会の議事内容の報告を外に配布して有力者となる。しかし彼は実は、ネッケルの代わりに財務総監の地位を狙い、国王と民衆の間で駆け引きを企てていた。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。