運命の1789年、その1月にエマニュエル=ジョセフ・シエイエスの後世に残る本「第三身分とは何か」が発刊された。シエイエスは、聖職者だったがソルボンヌ大学で啓蒙思想を学び、感化を受けた。全国三部会には聖職者身分としては推挙されず、第三身分として選出された。
この書の冒頭は、有名な語句で始まる「第三身分とは何かーすべてである」「第三身分とはこれまで政治秩序においてどのようなものであったかー無である」「第三身分とは何を要求しているかー何がしかのものになることを」そして第一章において、第三身分とは一個の完全な国民である、と宣言するのだ。
シエイエスは、三部会は、第一第二身分両方と同数の議員数にし、決議は頭数でせねばならない、という。しかし彼はさらに踏み込み、第一第二の特権身分と第三身分が一致することはあり得ない、というのである。だからこそ第三身分は「国民議会」をつくらねばならない。
そしてこの書は最後に、特権身分は「存在するだけで有害」と断ずるのである。何と三部会が始まってもいないのに否定された。しかしこの本の予言通り、三部会は行き詰まり、それに代わって国民議会がつくられ、革命は特権身分をなくそうとする。シエイエスはやがてその中心人物となる。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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