1783年、アイスランドの火山が相次いで噴火した。空気中に1億2千万トンの二酸化硫黄が放出され、ヨーロッパに異常気象をもたらし、フランスでも食料不足に陥った。88年には春から夏にかけて雹が降り、農作物を痛めた。夏には80年ぶりの旱魃が起こり、冬は厳寒となった。
季節農民は金が得られず、小作農民も生活ができず、都市流浪者となって、教会の施し、現在のアメリカならフードバンクに頼るようになった。しかし都会でも仕事ばなかったのだ。86年に結ばれた英仏自由貿易協定で、イギリス産業革命による安い繊維製品が押し寄せ、手工業者が失業した。
ブリエンヌが辞職したあと再登板した財務長官ネッケルは、穀物輸出を禁止し、食料を輸入しようとした。が、異常気象は物流にも影響し、影響を受けた欧州北部各国がやはり食料を輸入しようとした結果、食料は不足し、しかも高かった。三部会開催と同時に行った陳情ではこうした苦情が寄せられた。
こうした不満は身近な者のせいにされた。例えば徴税人や役人である。そして噂は、特権階級が買い占めを行っているという「アリストクラートの陰謀」となり、各地で暴動が発生した。生活の困窮は、三部会開催による政治の刷新の期待をいやおうなく高めていった。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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