1787年1月、モーツァルトはボヘミアの首都プラハへ赴いた。実は「フィガロの結婚」がプラハで上演されて大喝采を浴びたのだ。実際プラハは欧州の赫赫たる文化都市なのだ。30年戦争や普墺戦争で荒れ果てた都市も、ようやく復興して人口が増加し、83年に国立劇場も建てられた。
それと共に、プラハは2度も反ハプスブルク大事件が起こった都市である。フィガロの結婚も、市民はそこに、ハプスブルク貴族への批判と、市民が知恵で負かすという快感を見たのである。アマデウスは大歓迎を受け交響曲プラハはもちろんのこと、アンコールで「もう飛ぶまいぞ」を即興変奏曲を12曲もつくった。
そして国立劇場より、彼は新作オペラを注文される。アマデウスからそれを聞いたダ・ポンテが提案したのが「ドン・ジョヴァンニ」である。この物語は、モリエールが劇にして発禁になったが、これも政治宗教批判を和らげて出す許可を取った。実際女がなければ生きられないダ・ポンテ自らの話だった。
ダ・ポンテは、モリエールを下敷きにしながら、オペラらしい物語にした。最初に殺人事件があり、犯人を捜す恋人達、女を求める主人公、主人公を探す元カノ、と、すべてドン・ジョヴァンニ中心に展開していく。さらに最後が、地獄落ちというホラーシーン。アマデウスの新境地の劇的音楽を披露するチャンスだった。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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