フィガロは、この年9回の上演を見た。やはり大評判とはいえない。しかし実は、後で帝国都市プラハで大好評を博すのである。ともかくアマデウスは、革新的なオペラ作曲家との評価を確実にした。この時代には、オペラで認められるということが最も重要だった。
もう一方の作者ダ・ポンテこそ台本作家として認められ、仕事があちこちから入るようになった。ダ・ポンテは、ソイル作曲の「奇妙なこと」や、サリエリの「タラール」をイタリア語に訳して「オルムスの王アクスール」の台本を書いてヒットさせた。映画では、皇帝に評価されてモーツァルトが毒づくことになっている。
ダ・ポンテは後年モーツァルトの評価が高くなるにつれ、彼を世に出したのは自分だ、と言うようになる。しかし基本ストーリーはボーマルシェである。そこが気に入らないダ・ポンテは今度こそ自分のオペラを作ろうと思う。
しかしアマデウスは止まらない。誰からの依頼もなく、自分の創作意欲のために先進的な「ハイドン四重奏曲」を仕上げ、ハイドンに捧げる。そして、翌年のプラハ公演の前に、さらに劇的な交響曲第38番「プラハ」を作曲する。モーツァルトの絶頂期にかかってきた、この時30歳立志の年である。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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