1786年8月17日、プロイセンのフリードリヒ2世が崩御した、74歳。啓蒙専制君主として一世を風靡した王であるが、その結果としてのフランス革命を見ずにすんだ。王は国土を2倍化してプロイセンを一流国家にしたが、それは戦争と巧妙な政策のおかげであった。常備軍は22万人に膨れ、軍事国家となった。
王は、神の前に人間は平等を唱えたが、実際は貴族の特権を擁護し、課税をしなかった。こうしてプロイセン独特の土地貴族、ユンカーに基づく国家ができあがり、農民は土地を所有できず、農民裁判権もユンカーが持っており、ユンカーは将校と宮廷に進出した、ん?啓蒙って何?
王は、学芸を振興し、自ら著作し、フルートを吹く文人だった。サンスーシ宮殿は音楽家が集った。しかし、この時代から盛んになるドイツ音楽やドイツ文学も、プロイセンではなく、むしろ小さな領邦国家が生み出し、ドイツ圏での音楽の本場はウィーンになってゆく。
王の後を継いだ息子フリードリヒ・ヴィルヘルム2世の時代にフランス革命が起こり、2世は啓蒙主義を抑圧し、軍事を拡大した。そしてプロイセンはドイツを飲み込み、ドイツ帝国ができあがる。晩年のフリードリヒ2世は孤独だったらしいが、彼は国と文芸の理想の狭間に行きていたのかもしれない。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
0コメント