アマデウスの旅14-「フィガロの結婚」オペラへ

1784年、モーツァルトはフリーメイソンに加入した。フリーメイソンは、新興ブルジョアの友好団体の側面があり、人脈が欲しかったのが動機だろう。しかしかつては「悪党の親玉」とヴォルテールを言ったアマデウスが、啓蒙思想の雰囲気に触れたのは確かだろう。彼は熱心で、フリーメイソンのための音楽もつくる。

そしてアマデウスは、大作オペラ「フィガロの結婚」に取り掛かる。この劇はオーストリアでも禁止されていた。しかし台本作家ダ・ポンテが、危険な部分は省くということで皇帝の許可を取った。二人はヴェツラル男爵邸で会っており、ダ・ポンテは自分の名をあげるには新進音楽家のアマデウスのほうがいいと思った。

ヨーゼフ2世のドイツ語文化改革はつまづいていた。カトリックのウィーンはイタリアと相性がいいのだ。ウィーンの舞踏会の起源は、四旬節前のカーニバルである。これはマリア・テレジアもどうすることもできなかった。そこで演奏されるのがイタリア音楽でオペラである。

啓蒙宣誓君主のヨーゼフは、空想的なバロックオペラが好きではない。そこでどうせイタリア語でやるなら、啓蒙主義的なオペラをしようと考えた。アマデウスも啓蒙主義を知り、さらに意気揚々と新しいオペラを作ろうとする。この偶然によって傑作が生まれたのだ。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。