フランス革命の道26-バブル崩壊と財政危機

首飾り事件は、経済的にフランスのバブルを崩壊させた。1786年の赤字は1億リーブルに上り、国債の償還期限が迫ってきていた。財務総監カロンヌは、オランダやスイスにもフランス国債を引き受けさせた結果、銀行団と交渉するのができなくなった。そして首飾り事件は王室の信用を失墜させたのだ。

カロンヌはそこで、貴族や聖職の特権身分にも土地をもとに一律課税する「王政改革」を提案した。国王ルイ16世はそれを気に入り、また啓蒙的進歩主義者も支持した。しかしこの改革が成立するには、法服貴族の巣である高等法院を通過させねばならなかった。

そこで1787年2月22日、貴族や聖職身分144人を集めて150年ぶりに名士会議が開催された。冒頭、カロンヌは弁舌豊かに1時間余り演説したが、カロンヌは危機を強調するために、財政赤字を詳しく話し、しかも従来の方法では挽回不可能だと話したのである。皆背筋に寒いものが走った。

現在でも増税の話は一朝一夕にはいかない。そして最初に出てくるのは財務大臣の責任である。そもそも最近まで問題がないと言っていたではないか。さらに前財務長官のネッケルの時代の赤字まで言ったものだから、ネッケル派も巻き込んで、大騒動になったのだ。

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。