フランス革命の道27-カロンヌの王政改革失敗

カロンヌの改革案は、あっさり退けられたのではなく、複雑な議論を巻き起こした。特権身分も課税されるべき、という考え方は、聖職者は祈りを、貴族は血を、平民は金を王国に捧げるという国家の在り方の問題だ、と唱える者も出た。聖職者は、教育や福祉を担っており、もう十分払っている、と述べた。

さらに、土地保有税に総論賛成でも、払い方について全額金納とか、生産高課税ではなく一律均等課税にしろとか、土地だけではなく都市建物にも課税すべきだとか、土地評価の方法はどうするのかとか、細目に山ほど意見が出たのである。今日なら税制委員会で専門家の意見を入れてつくるだろうが。

さらに、そのために作られる州議会についても問題がいろいろ出る。州議会の構成はどうするのかとか、地方議会では第三身分が主導権を握るのではないかとか。州議会の権限はどこまでか等々。実はこれらのことは革命後、長い時間をかけてつくられていくことになるのだ。

カロンヌの案の不十分さと、私腹を肥やしたという個人攻撃が相まって、彼はキレて「結局特権階級が税金を分担するか、人民に払わせるかだ」と、まるで革命家のようなことを言ってしまう。国王ルイは、あちこちからの非難もあわせて、こりゃカロンヌを替えたほうがいいと思ってしまうのだ。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。