フランス革命の道21-新古典派ダヴィッド登場

1784年、ルイ16世の注文で「ホラティウス兄弟の誓い」という絵画が完成した。描いたのはナポレオンの絵画で有名になるジャック=ルイ・ダヴィッド、このとき36歳である。彼は74年にローマ賞を取り、イタリアへ留学し絵画を学ぶ。そしてルーブル宮殿への滞在も許可されるほど評価された。

この時代、ギリシアローマ時代の芸術が再評価される。そのきっかけはあの火山の噴火で壊滅した町ポンペイの発掘だった。そして美術評論家ヨハが、ギリシア賛美の評論を書き、簡素なギリシアローマ様式が脚光を浴びるようになる。それは甘美で派手なバロック、ロココの反動だった。

ルイ16世のこの絵画は、まさに新古典派絵画の誕生となった。バロック絵画と比べても様式的で、単純。微エロのロココに対して男性美そのものである。もちろんアメリカ独立戦争で、ワシントンらの男らしさが評価されたのも関係している。美意識としても時代は変わりつつあった。

ルイ16世の狙いは、フランスへの愛国心である。ホラティウス3兄弟は、ローマの代表選手として、アルバとの戦いに赴く。女性の哀しみをふりきってである。ルイ16世の時代が続けば、彼は国王付きの画家となったかもしれない。しかしその後、この描かれた愛国心は革命と重なり、ダヴィッドは「球戯場の誓い」を描き、革命芸術家となって、その後ナポレオンの画家となる。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。