1783年、王妃マリー・アントワネットは、技術の世界でも伝説をつくることになった。伝説の懐中時計「ブレゲNo.160」通称マリー・アントワネット。ブレゲの愛用者であったアントワネットか、もしくはアントワネットに捧げようと思った誰かか、いずれにしても使者が、当時の最高水準の詰まった時計を所望した。
ブレゲは「時計のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と呼ばれ、歴史を200年は進めたという天才である。現代の時計の技術の4分の3は、ブレゲが発明したか、改良したものだとのことだ。ミニッツリピーターや時計の角度で狂わない機構も彼が発明か改良したものだ。
時間と金の糸目はつけないという注文に、ブレゲはさらに自動巻きや永久カレンダーなども開発してしまう。しかし時間に左右される人間の運命は、アントワネットの命を奪い、ブレゲその人が亡くなっても完成できず、弟子達が受け継ぎ、1827年に完成した。が引き取り手のない時計は、一旦ブレゲ家で保管された。
その後サロモンズ卿が引き取り、1923年に美術館に寄贈されたが、83年に盗難に会う。ブレゲは2004年にこの時計の復元計画を立て、08年4月に完成、盗まれた時計もその前年07年12月に発見されていた。アメリカのサターン計画などの国家プロジェクトは技術を大きく進歩させたが、これもその一つと言えるだろう。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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