1784年ヒーローが現れた、といっても舞台の上でだが、いかにも当時のフランスらしい。「フィガロの結婚」のフィガロである。この戯曲をつくったのはボーマルシェという男、この波乱万丈の人生がフィガロにも投影されている。彼は最初は速度調節器を発明するほど腕のいい時計職人で、ヴェルサイユにも出入りした。
当時はルイ15世時代、彼はハープ奏者としても王女に取り入って「国王秘書官」となる。さらに伯爵と裁判するわ、ルイ15世のスパイとなって渡英するわ、アメリカ独立支援のためのフランスの資金援助会社をつくるわ、大活躍。文才があり、75年「セヴィリアの理髪師」で快男児フィガロが登場する。
フィガロの結婚はシリーズ第2作で、前作の活躍で伯爵に雇われたフィガロの婚約者の貞操を伯爵から守るために、知恵を使って勝利する筋書。劇作は78年に完成したが、82年国王夫妻の前で朗読されたとき「伯爵、あなたは生まれてきただけじゃないか」というセリフにモロな貴族批判を見た国王は上演を禁止した。
しかしそれが噂を呼び、結局84年4月27日に初演が行われ、満員御礼となった。この劇を支持したのは、実は貴族の夫人である。この劇を支持したのは、実は貴族の夫人である。この劇は、伯爵夫人の夫の浮気への懲らしめとも読めるからだ。ルイ16世は結局、ボーマルシェをヴェルサイユに招待して、アントワネットと共に接待する。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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