ロシア帝国の道18-ポチョムキンのクリミア占領

アメリカ独立戦争の帰結がはっきりする頃、東方でロシアはさっさと動き出していた。1782年保護国クリミアの反乱を口実に、エカテリーナ2世はクリミアの併合を強行した。この地に侵攻して、県知事になった男は、女帝の愛人ポチョムキン公爵である。彼はセヴェストポリ要塞を築き、黒海艦隊を創設する。

実は、外交上手な女帝は、オーストリアのヨーゼフ2世に、さらにオスマンの支配するヴァルカンの分割を提案していた。この秘密協定のもとにクリミアに侵攻したのである。バイエルン獲得に失敗して、なんとかハデな勝利をしたい皇帝ヨーゼフは、フランスも参加させようとした。

取引条件はオスマンからエジプトを取ること。多方面からオスマンに介入してオスマンを危機に陥らせる。ルイ16世は、その計画もなく、ヨーロッパ均衡の立場からこの分割作戦にのらず、皇帝ヴァルカン侵攻はできず、結局ロシアのみが得をしたが、この単独介入は露土戦争につながっていく。

マリア女帝崩御後、皇帝ヨーゼフは、ヨーゼフ主義といわれる改革を実施、農奴を領主支配から、皇帝支配にさせようとした。さらに宗教寛容令を出し、新教にも権利を与え、実情のない修道院はとりつぶした。40歳にして惑わずではなく、ようやく立った男は、対外的にも冒険をまだ行おうとする。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。